「楽」すると「効率」はよくならないこともある。
さて、本日のテーマはタイヤフィッターの特色でもあるエアーツールを使わないこだわりの作業にについてです。
我々スタッフは大型量販店さんや一般のタイヤショップさんでは当たり前に使っているインパクトレンチ、リフトを使用しておりません。
タイヤ交換の肝であるタイヤチェンジャー以外はすべてエアーツールを使わず、手作業で交換作業をさせていただいています。
ここで1つ疑問・・・。なんでそんなめんどくさいことをやるのか?
まずエアーツールのメリットを考えてみましょう。
・人間の力があまりいらないので楽に作業ができる。
しかしおおまかに分けて大きなメリットと言えばこの2つではないでしょうか。
ここでもう少し掘り下げていきましょう。
作業効率といえば漢字の通り、作業をする時の効率のこと。インパクトレンチやリフトを使えばボタン1個でナットやボルトは緩むし、取り付けられるし、車体を持ち上げることができます。
これも上記にかぶるのですが、ボタン1個で外したり、つけたり、上げたりできるので人間の力はあまり必要ではなくなりますよね。
いや~、なんと魅力的なんでしょうか!!ボタン一つで必要最低限の力で何トンにも及ぶ車体や、1本あたり4~6個もあるナットやボルトを外してくれるとなればこれに勝る効率などないでしょう!!
・・・・ほんとにそうなんでしょうか?
ご利用頂いたお客様はもうご存知ではございますがそれであのスピーディーな作業時間です。
ここで一つ・・・「作業効率を上げる為=エアーツール」は必ずしもイコールではないこと。
確かにリフトを使ったり、インパクトを使用すれば「楽」はできます。しかし、それは時として効率的ではなくなるのです。
つまりはエアーツールという便利アイテムを使わなくても同様か、それ以上の効率を生み出すことができるのです。
ここでエアーツールのデメリットを考えていきましょう。
~デメリット~
・強力な力が加わるので損傷を起こしやすい。
・リフトなどで車体を持ち上げる時には車体の位置を決めなければならない。
まだまだたくさんあるとは思いますがおおまかに分けさせてください。
少し掘り下げます。
・強力な力が加わるので損傷を起こしやすい
エアーツールを使うと強力な力が加わるのでトラブルの原因、要因になりやすいのです。
ここで下記の写真をご覧下さい。
我々が交換作業をしたときに起こったものです。
その時点で起こりうる可能性をお話し、ご了解を得て外してみることになったのですが写真のとおりねじ山がつぶれているのがわかります。
インパクトレンチ使用時に少しの油断で、ねじ山に噛み合っていないのにも関わらず回してしまったのが原因と考えられます。
そしてなにより大事なのは、この状態で走行すると思うとゾッとすることが多々あります。
ねじ山に対して斜めに力いっぱい入れ込んでしまったのに、そこで更にトルク管理と題してトルクレンチでまた力を加える。
そこでは何も異変がないと判断され、そのままお客様に引き渡す。走行中、なんらかしらの振動や衝撃によりボルトごと折れるかナットが飛ぶ・・・。もう想像するのをやめましょう。
リフトを使って車両を持ち上げる際に重要なことと言えば車体の位置決め。これがずれているとタイヤがずれてしまい、車体が落ちてしまいます。
その為、しっかりとした位置に持っていかねばなりません。だから何回もハンドルをきったり、誘導員を使いながら右に左にと位置をもっていくのです。
タイヤフィッターではガレージジャッキを使用しております。これで車体の位置決めをしなくても平らなところであればどこでも車体をジャッキアップすることが可能なのです。
エアーツールを使用しているショップさん等を批判しているつもりはございません。使用しているショップさんでもしっかりとした知識をもって注意をして作業をしている方々もいっぱいいらっしゃいます。
我々のスタンスからしてみれば上記のような危険があればどんなに大変でも手作業で作業をしてトラブルに繋がらないようにしていきます。
そのトラブルで時間がかかるのであれば作業効率というものからすればもっと悪くなる・・・。こう思うのです。
そして手作業で作業をしてもスピーディーに交換作業を行なえているから、ここまで皆様に支えてもらえるようになったと全スタッフ感じているのです。
「楽」をして「効率をあげる」というよりも「安全」を考える為に「効率をあげる」ほうがよっぽど「安心」に繋がると思います。
タイヤフィッターのこだわりの作業。ここに我々のサービスの原点がつまっているということをお話させて頂き、本日はこの辺で失礼いたします。